紬のある暮し|その五 | 山形 着物の販売・レンタル・着付け|とみひろ呉服サイト
紬のある暮し|その五
2026.04.28
着物の豆知識
お客様とお話をしていると、
着物との出会いには、それぞれに物語があると感じます。
着物はひとりの楽しみにとどまらず、
ご家族の中で受け継がれていく存在でもあります。
装いとしてだけでなく、
思い出や時間を重ねながら、
少しずつかたちを変えていくもの。
「紬のある暮らし」では、
実際に着物と共に日々を重ねていらっしゃる
お客様の声もご紹介していきます。
第三回は、足立様の
ご家族とともに育まれてきた着物のお話です。
「着物という文化の心地よさ」
私は母一人の家庭で育ちました。
母は仕事が休みの日は着物を着て出かけることがあり、
その母の姿に憧れの気持ちもありました。
そんな私の着物好きは娘にも伝わり、
二人で鎌倉、金沢、
京都などにもお出かけしていました。
娘と一緒にあれこれ着物のコーディネートをするのも楽しい時間です。
そんな母子の姿を見ていた夫に、
私の退職時に越後上布の着物を
誂えてプレゼントしました。
“馬子にも衣装だな”とうれしそうに着て、
親子三人での着物姿のお出かけも
懐かしい思い出です。
その着物は今、
仕立て直しをして私や娘が着ています。
着物は家族の中で共通の財産のようになり、
家族の文化のひとつになりました。
母から私へ、そして夫や娘へ。
着物は何世代も使うことができるとよくいわれますが、
着物というモノではなく文化としてあるものなのですね。
着物が作りあげられるまでに
携わった人たちの思いや、
弛まぬ技術を高める努力も重なり、
それを纏う私たちの思いや歴史も
重なった文化なのだと。
「とみひろ」での会話の中から、
そんなことを学びながら楽しんでいます。
足立様
お着物は山形・新田の米沢紬、
帯はGoYAさんの染九寸帯です。
この着物をお求めの際は、
お嬢様とご一緒にご来店くださいました。
紬をお気に召していただきながらも、
一度は「少し考えさせて」と店を後にされました。
しばらくして戻ってこられ、
「娘と一緒に着るから、二人でいただくわ」と、にこやかに。
母娘で着てくださると伺い、
胸があたたかくなり、しみじみと感激したのを覚えています。
ご主人様の越後上布をお求めいただいた折には、
足立様ご家族の文化の一端に触れさせていただき携わらせていただけたこと、
心より感謝申し上げます。
表参道 店長 宮良