紬のある暮し|その三 | 山形 着物の販売・レンタル・着付け|とみひろ呉服サイト

紬のある暮し|その三

2026.03.02
着物の豆知識

お客様とお話をしていると、
着物との出会いには、それぞれに物語があると感じます。
着物は買った瞬間から物語が始まるものではなく、
それぞれの人生の時間の中で育っていくものなのかもしれません。

「紬のある暮らし」では、
これから実際に着物と共に日々を重ねていらっしゃる
お客様の声もご紹介してまいります。

記念すべき初回は、
遠藤様の着物との再会のお話です。





「着物に出会えた喜び」

我が家の両親は着物が大好きでしたが、
私は若いころ生意気盛りで、
着物より本を買いたいと言っては、
随分悲しい思いをさせていました。

それに体格も良く、
洋服しか似合わないと思い込んでいたのです。

ところが母が80歳を迎えるころから認知症が進み、
デイサービス、ショートステイを経て、
瞬く間に施設入所となりました。
着方もわからないまま、
箪笥二竿分の着物を私が受け継ぐことになりました。

そんな折、近所に着物が大好きという友人たちがいて、
我が家で着付けの練習を始めました。
60歳から、5人で月に一度集まり、
手作り料理を囲みながらおしゃべりに花を咲かせる時間が、
77歳になった今日まで、17年間絶えることなく続いています。

ワンパターンになりがちなコーディネートも、
あれこれ工夫することで新たな魅力に気づき、
わくわくして時間の経つのも忘れてしまいます。
ひとりひとり趣味も仕事も違いますが、
違いがあるからこそ面白いのです。

とみひろで出会った作家の作品の素晴らしさなど、
語り尽くせません。

ほんとうに着物に出会えて良かった!

遠藤様

 

月に一度の集まりでは、
冷蔵庫にあるもので五、六品をさっと作ってしまう
料理上手としても評判の遠藤さん。
その都度、ワンコインを缶に入れるのが皆さんのルールだそうです。
集まったお金は、メンバーの方々がこれからも健康で元気に過ごせるようにと、
資格取得を目指して学ぶお仲間の奨学金に充てられているとのこと。

着物を通してつながる時間が、
人を思いやる気持ちや支え合うかたちへと広がっていく。
着物を着ることで得られる心の豊かさを、
学ばせていただく思いです。


遠藤さんの今日のお着物と帯は
伊那紬と、科布の帯と、とみひろオリジナル帯〆。

鮮やかな青と緑が印象的な「織り」の着物に、
白の帯を合わせた装いです。
すっと爽やかな白が春らしく、
全体を軽やかに引き締めています。

織りの着物と織りの帯の組み合わせは、
シャープで凛とした印象です。
カジュアルなのにどこかスーツのような
きりっとした雰囲気が生まれていますね。

一方で、この着物にもし「染め」の帯を
合わせると印象はやわらぎ、
よそゆきの華やかさや愛らしさが加わります。
同じ着物でも、帯次第で表情が変わり、
TPOに合わせた装いが楽しめるのも着物の魅力です。

表参道 店長 宮良

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