[vol.2]着物と”鯨尺” | 山形 着物の販売・レンタル・着付け|とみひろ呉服サイト

[vol.2]着物と”鯨尺”

2025.08.31
着物の豆知識

「きっと、職業病です」

山形の美しい自然は訪問着の裾の柄のよう。
川辺の朝靄も、明るい空と
夕焼けの美しい暈しも
その影になる山々も全て、
技法なら臈纈染だろう。

春から夏に変わる頃、
水を張った田園に映るオレンジの太陽、
揺れる水面に見惚れつつ、
山形の大自然を染めてくれた某作家の
着物を思い出す。

ある日、事務所で
白紙の書類を探し続けている私に
「無地の何がいるの?」
と声をかけてくれた同僚。
無地(色無地)=柄のない着物のこと。

私達は着物屋独特の感覚で
様々な会話をしている。
例えば「懐紙は素無地が良いよね」
これは地紋(織り目)が全く無い生地を
イメージした我々の共通認識。
また「裄(袖の長さ)長すぎない?」
ファストファッションの試着室で
古風なやりとりを交わす。
どんな時も畳はすり足で歩きたいし、
風呂敷で何かを包むと整う感じがする。

シャツの襟は抜くと背筋が伸びて
気持ちが良い。
これは、沁みつくという事なのだろう。

いつか鯨尺感覚でモノを見始めるのだろか。
「庭の薔薇2寸(7.5センチ)位の
立派な花が咲いた」
「車ぶつけたー
5分(1.8ミリ)位の傷がついた…」

これは、案外カッコイイかもしれない。

庭多泉 店長 伊藤

 

着物の世界には
ちょっと独特な言葉が出てきますが、
実は暮らしの感覚に
すっと馴染むものばかりです。
「裄」の長さは、腕の動きや
着姿の美しさに直結する、とても大切な要素。

私が入社したばかりの頃、和裁士さんが
「測るのに普通にミリとかセンチを
使ってもいいんだけど、鯨尺を使うのは、
着物の世界観を大切にできるからね」
と教えてくれて、
それが今も心に残っています。

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